その昔、桜井市の国道165号線沿いに一軒のレストランがあった。名前は「MASUTEI」。
当時、私は下北山村に単身赴任しており、土曜になると平地に降りてきて、日曜の夜に山へ帰るという生活をしていた。
そのとき私には知りあいから紹介されてつき合いだした彼女がおり、週末は彼女の実家に近い橿原近辺で時を一緒に過ごすことが多かった。
ある日、「ランチでも」 と店を探していたときに見つけたのがここ。ビルの2階か3階にあって、席数は10席ぐらいしかなかったように思う。
フレンチなど、今ほど一般的ではなかったし、私たちはまだ若かったので、とりあえず一番安いコースをお願いした。
慣れなくて緊張していたのか、それとも別の理由か、残念なことに料理のことは全く覚えていない。今ほど食べ物に執着するようなことはなかったから、「ああ、おいしいね」 ぐらいの印象しかなかった。
ただ、そのとき出された「パン(今 思えばバゲットを軽くトーストしたもの)」が 「生まれて初めて食べた」 ぐらいに美味しかったという記憶が残っている。(確かお代わりを申し出ると快く出していただいたように思う)
あれから十数年がたち、“彼女”は“嫁さん”となり、子どももできた。
先日、郡山の「MASUTEI」にお邪魔した。この店が私の記憶にある桜井の「MASUTEI」が移転したのか、たまたま同じ名前の店なのかはわからない。
駅からはそこそこの距離があり、歩けば15分ぐらいはかかるだろうか。私は車で行ったのだが、一方通行の道に面しているので北から来るとけっこうわかりづらい。
メニューは昼夜とも一種類、店の前の黒板で前菜とメイン。デザートが何か確認できる。以前、予約無しで飛び込んで満席だったことがあるが、この日は予約無しで大丈夫だった。
店内は一軒家を改装した落ち着いた雰囲気で、天井も高く、席数を少なめにゆったりとした作りになっている。
この日の前菜は黒板には連子鯛とあったが、切れてしまったようで、ホタテのサラダ仕立てに変更されていた。
マリネにしたホタテに色とりどりの野菜、オレンジなどのフルーツがビネガー代わりになって自然な酸味を加えている。チコリのシャキシャキ感、ルッコラの苦み、ニンジンの歯ごたえ、フルーツの酸味、ナッツの香ばしさ・・・。どれも主役であるホタテに負けていない。
あまから手帖の紹介文で「きわめてシンプルなのに、肉も野菜も素材の持ち味が生き生きと際立っている」と書かれているのも納得できる。
そして、パン。店で焼く全粒粉のものだそうだ。一切れ口に入れるとなつかしい味がよみがえる…、かといえば、舌の記憶などいい加減なもので、実際のところよくわからない。しかし、このパンを食べたときに冒頭に書いた記憶がよみがえってきたのだから、やはり変わらぬ味なのかもしれない。思わずお代わりをいただいた。
この日のメインは大和ポークのロースト。ジューシーな肉の旨みはもちろんのこと、軽く焼き目を入れたカリフラワーやアスパラガスなど野菜の組み合わせも絶妙であった。
デザートは苺のチーズケーキ。火が入ってジャムのようになった苺が甘酸っぱくて、チーズの酸味とよく合っていた。ドリンクはコーヒーか紅茶から選べ、お代わりは200円。
今回は一人で来たが、次は嫁さんと一緒に来ることにしよう。
また、ボチボチとマイペースで更新しますのでおつきあい下さい。
MASUTEI 大和郡山市西観音寺町8-2
0743-54-2248
11:30~13:00 17:30~20:00
水休 P有
↓“読んだ”の代わりにクリックしていただければうれしいです。管理人が調子に乗ります。
人気ブログランキングへ
テーマ:奈良 - ジャンル:地域情報
タグ : フランス料理